地震への対策について
日本は世界的に見ても地震の発生頻度が多い国です。
住宅を建築するにあたり、入念な地震対策が必要です。
住宅の地震対策で重要な要素
01
地盤
いくら建物が地震に強くても建物が建っている地盤が強くなければ意味がありません。地盤調査は建築基準法で義務付けられています。
02
基礎
戸建て住宅で一般的に採用されるのは「べた基礎」と「布基礎」。お家を支える土台も強くなくてはいけません。
03
構造計算
構造計算とは、建築構造物などが、固定荷重・積載荷重・積雪荷重・風荷重・地震荷重などに対してどのように変形し、どのような応力が発生し、耐えられるかを判定するものです。構造物の安全性や使用性を確認するのが目的です。。
04
ダンパー
地震の際に建物や構造の揺れを減衰する装置です。繰り返しの揺れにより起こる建物の変形、損傷を防ぐ効果があります。
住宅における地震対策法の種類
地震の揺れに耐える「耐震」
地震による倒壊を防ぐもので、揺れに耐えられるような頑丈な構造にするという考えです。
地震の揺れに耐えられるように、柱・梁・壁を筋交いや構造用合板、金具などを使用し、強く頑丈にします。
地震の揺れを抑える「制振」
地震や台風による建物の揺れを吸収し、建物本体へのダメージを抑えるという考えです。
建物内に設置した制振ダンパーで、地震の揺れを吸収し、建物や家具などの損傷を最小限に抑えます。
地震の揺れを伝えない「免振」
地面と建物を切り離し、地震の揺れを建物に伝えないという考えです。
建物と地盤の間に免震装置を設置し、揺れを逃がすことで地震の力を建物に伝えないようにします。
各構造のメリット・デメリット
耐震構造
メリット | ・低コスト ・地盤に制限なし ・どの業者でも対応可能 ・地震保険の割り引きがある |
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デメリット | ・地震の揺れは建物に伝わる ・家具などが揺れる ・繰り返しの地震に弱い |
制振ダンパー
メリット | ・コストは中 ・建物への揺れを軽減 ・繰り返しの地震に強い ・家具転倒を防止 |
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デメリット | ・追加の費用が掛かる |
免震装置
メリット | ・繰り返しの揺れに強い ・建物への揺れを軽減 ・家具転倒を防止 |
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デメリット | ・高コスト ・メンテナンスが必要 ・地下室を設けることができない ・台風の揺れには効果はない |
多くの戸建て住宅では耐震・制振が採用され、免震は主に高層ビルやマンションに採用されています。
戸建て住宅で免震を採用するのは、設置、管理費が高額なため、現実的ではありません。
戸建て住宅における耐震基準
建築基準法で定められている戸建て住宅の耐震性能基準は「耐震等級1」に相当します。
これは数百年に一度起こる震度6強~7相当の地震でも倒壊や崩壊しない強度を持つ構造設計です。
耐震等級とは
住宅の品質確保の促進等に関する法律である「品確法」によって定められている住宅性能表示です。
耐震等級1
数百年に一度などまれに発生する大地震でも倒壊しない程度の強度を持つ構造設計。震度6強〜7程度の地震が起きても即時倒壊しない程度の損傷。
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の強さ。震度6~程度の地震が起きても補修により引き続き居住可能な程度の損傷。(病院や学校など、避難所となる建物)
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の強さ。震度6~7程度の地震が起きても軽微な補修で引き続き居住可能な程度の損傷。(消防や警察など防災の拠点となる建物)
地震から命・住宅を守るために
実は、国の定める建築基準法や耐震等級をクリアしていれば「安心」ということではありません。
実際に、熊本地震では震度7の揺れが2回発生したことにより、新耐震基準(2000年)以降に完成した耐震等級2の住宅が倒壊する事例が見られました。
冒頭でも述べたように、地盤、基礎、構造計算、ダンパーなど総合的に採用することが重要です。